背景・課題多様な人と関わり、つなぐ仕事。前例の応用が難しいからこそ、チームワーキングの必要性を実感私がNOKIOOを知ったきっかけは、グロービス経営大学院主催のイベントにNOKIOO取締役の小田木朝子さんが登壇されたことです。小田木さんの「チームワーキング・ヘルプシーキング」のセッションに参加し、皆が生き生きと働ける組織にするために「周りに助けを求め、適切にチームで連携する力」は大事だと感じましたし、何より小田木さんの場づくりが素晴らしく、楽しく参加したことを覚えています。当時、私は前職在籍中でしたが、その後、組織開発や人材開発にチャレンジしたいとフォトクリエイトに転職しました。当社は2002年設立の、インターネット写真サービス事業を行う会社です。事業特性としてチームで動く仕事スタイルであり、入社してすぐ、まさにNOKIOOの提唱する「チームで成果を出す」考え方がフィットすると感じました。学校行事やスポーツの大会などの現場で実際に写真を撮影するのは当社と契約をしているプロのカメラマンであり、私たちの役割は撮影機会をつくり、現場をアレンジしながら、お客様が喜ぶ写真に仕上げていくことです。つまり、多様な人と関わり、つなげていくことが、ビジネスモデルの根幹にあります。そのためには、多様な目線は必要不可欠です。また、前例が適用しにくいという特性もあります。例えば、同じ撮影現場でも、昨年は晴れだったが、今年は雨である場合、「どこで撮影すると一番良い写真になるか」は変わってきます。ある程度の「型」はあるものの、案件ごとに毎回アレンジすることが求められます。いかにチームでノウハウを共有し、組み合わせていくかが重要です。もう1歩、2歩踏み込んだコミュニケーションができるチームを目指してまた、チームワーキングが必要だと感じた背景には、組織風土もありました。というのも、当社はとても「良い人」が多く、社内コミュニケーションは良好でした。しかし、よく観察をすると、ポジティブなことはしっかりと言い合える一方で、摩擦を避ける傾向もありました。例えば、上司が部下の反応や感情を慮って、厳しいことを言いにくいというような場面も見受けられたのです。これは元々当社には「自分が、自分が」と前に出るタイプよりは、周囲と協調しながらやっていくタイプの人が多かったことに加え、ベンチャー企業として成長した後、一定の成熟期に入ってきたという企業フェーズも関係すると思います。しかし、会社として成長を続けていくために、そしてチームで成果を出すためには、マネージャーやリーダーがもう1歩、2歩踏み込んだコミュニケーションが行えるチームに成長することが必要だと感じました。そこで、これらの課題感を持ってNOKIOOと情報交換しました。検討を一緒に進めた経営企画の責任者も、NOKIOOの「日本のチームの景色を変える」という方向性に賛同してくれたことから、研修企画はスピーディーに進みました。研修企画・狙い課題は「どう話すか」ではなく、「何を話すか」であるという気付き「マネージャーやリーダー層の摩擦を避けるコミュニケーションを改善したい」という課題感から、当初、私たちは部下と対話するための1on1スキル向上が必要ではと考えていました。しかし、NOKIOO小田木さんに相談したところ、「対話には『何を話すか』という対話の対象と、『どう話すか』という対話の手法の2種類の要素がある。御社は『どう話すか』は既にできている部分が多いので、どちらかと言うと『何を話すか』が課題ではありませんか?」と整理をいただきました。これには「まさに!」という思いでした。私たちがとりとめもなく色々と話した内容を受け、うまく課題を抽出してくださったのはありがたかったです。そこで、対話の研修ではなく、役割マネジメントという目標設定に関する研修を導入することにしました。「役割マネジメント」とは、組織や個人に期待される成果とその要件を定義し、関わる人たちと、チームや個人の役割を合意形成していく目標設定の考え方です。当社の課題は、部下と「どう話すか」ではなく、「何を話すか」であるという説明を経て、役割マネジメント研修を導入することで、成果や成果要件といった対話を行う際の共通ツールが得られることに期待しました。マネージャーやリーダーが部下と対話する際に、何を対象に対話するかが共通で組織内に存在することで、1on1の質も全体的に向上していくと考えました。社内勉強会との接続も考え、2回の役割マネジメント研修を実施社内では昨年から、月1回、マネージャーと部長を対象に勉強会を行ってきました。これは自分たちでテーマを考え、学び合う場です。このように内製できることは社内で行う一方で、できないことは外部の力を借りようと考えていました。「何を話すか」については、より刺激のある学びが必要だと考え、NOKIOOの力を借りることにしました。タイムラインとしては、私が入社した今年1月から3月までの間に、経営企画の責任者とともに課題を整理し、今期やるべきことを見極めました。そして4月に月次の社内勉強会でマネジメントに関する目線合わせをした後、5月と6月に、部長層10名、課長層11名の計21名を対象に、「役割マネジメント」の基礎編と発展編の2回の研修を実施しました。今年度早めのタイミングで役割マネジメント研修を行うことで、チームの成果が最大化すると考えたからです。NOKIOOによる「役割マネジメント研修」の後、7月には社内で経営層・マネージャー陣による「未来を考える1day合宿」を行いました。合宿はありたい組織の未来を対話しながら考えることが目的であったため、NOKIOOの研修からうまく接続できたなという感覚があります。NOKIOOからの提案役割マネジメント研修~成果を定義し合意形成する力~マネージャーやリーダーが、成果やメンバーの役割を定義し、それらをチームメンバーと合意形成する力の習得を目指します。基礎編で役割マネジメントの全体像を理解し、職場での実践を経てから発展編を行うことで、より行動変容につながる形を設計します。研修実施・効果期待通りのファシリテーション力とエネルギーにより、受講者の熱量が継続研修は講師である小田木さんのファシリテーション力やエネルギーを受講者が感じとることで、良い化学反応が起きるのではと期待していました。結果は期待以上でした。研修前はみんな「役割マネジメントって何だろう」という疑問があったと思います。しかし、講師である小田木さんから最初に研修の目的をしっかり伝えていただいたことで、すぐに受講者の熱量が高まり、基礎編と実践編のインターバルを経ても熱量が保たれ続けました。チーム内のメンバーで目線を合わせることを「景色合わせ」と呼ぶなど、研修の中で使われる言葉が明るく前向きだったのも、良かったポイントです。受講者がポジティブに受け取ることができたように思います。研修の中で「周りに助けを求める」行動が自然と生まれた研修の中で印象的だった場面が、「言語化ワーク」を行ったときのことです。ワークに取り組む中で自分では整理しきれないと感じたメンバーが、自然と「誰か助けて」という声を挙げてくれたのです。普段は1人で考え尽くすまじめなタイプのメンバーでしたが、周りに助けを求める「ヘルプシーキング」の行動が見られたことは、良い転換点になったと感じました。予定調和ではない研修スタイルだからこそ、あの場の偶然から生まれた行動だったことを嬉しく思います。これは、講師の場づくりが絶妙で、良い意味で「余白」があったおかげでもあると思います。メンバーがチャットでコメントすると、少しずれていたとしても、どんな発言でも拾ってもらえました。受講者にとっては「何を言ってもいいのだ」という安心感につながります。結果、受講生が受け身にならず、この場は自分たちが積極的に参加して作るという意識も生まれたと感じています。今後の研修企画「役割は何か」「成果とは何か」を継続的に考えられる組織に研修の評価としては、期待以上でした。研修後のアンケート回答率が100%、研修で課されたワークの実施率も100%であったことからもわかるように、受講者全員が良い意味で巻き込まれたことが大きかったです。おかげで、役割マネジメントを浸透させていく良いスタートを切ることができました。研修終了後は、各部門の成果や成果要件をアップデートするために、研修を受講したメンバーで再びディスカッションしました。こうしてできあがった部門ごとの成果や成果要件は、マネージャーがメンバーとの面談で、役割の合意形成にも活用しています。今後は、マネージャーが部門内の1人ひとりと対話しながら「役割は何か」「成果は何か」について常に認識を合わせ、現場で改善のサイクルが回っていく形にしたいと思っています。期待役割マネジメントをいかに定常化し、仕組みにできるか。今後の組織の成長に向けて、重要な取り組みとなると考えています。