取り組み概要【実施内容】・カリキュラム内容(実施時期) ーヘルプシーキング基礎編(2024年5月) ーヘルプシーキング発展編(2024年9月) ・リーダー層8名が受講 ※マネージャー層の1階層下の方々 【背景・課題】・組織力強化のために、リーダー層の育成が急務 ・チームを超えた連携力やシナジー創出が課題 【結果】・「リーダー=引っ張る」という固定概念が和らぎ、連携することに着目することができるようになった ・研修後も受講生同士で実践に向けたコミュニケーションや、具体的な連携行動が見られる等の変化が生まれ始めた 目次実施の背景 多岐にわたる人事総務の仕事。部署を超えた連携を強化するために ーーー 本日はサントリービジネスシステム様のリーダー育成の取り組みについてお伺いします。まずは御社の事業内容や部署のミッションについて教えてください。 島倉様:当社はサントリーグループのシェアードサービス提供を担う会社です。私たちグループ人事総務業務部は部門のミッションに「サントリーグループ社員が気持ちよくイキイキと働ける環境をつくる」を掲げ、その名の通り、グループ会社の人事、労務、総務領域を担っています。約50社あるサントリーの国内グループ会社のほとんどを担っており、グループ社員の会社生活、私生活のすべてを支えるような業務を行っています。 ーーー グループ全体を支える要となっているのですね。専門性の高いお仕事かと思いますが、部署としてはどのような組織風土がありますか? 島倉様:メンバーは若手からシニアまで幅広く、部員数は約60名です。かつ、拠点が大阪と東京と別れており、物理的に距離があります。また、キャリアとして本部署が長いメンバーもいれば、まだ経験値や知識が浅いメンバーもいるのが特徴です。そうした多種多様な人材がいる中で、各チームにリーダーを置く体制が部署独自として設けられています。 組織風土として私がこの部署に来た時に感じたのは、業務に対する丁寧さ・誠実さ・真摯さです。給与計算などイメージしていただくとお分かりになると思いますが、当部署の業務はサービス品質・コスト・納期が求められる仕事であり、グループ社員に良質な人事・総務サービスを提供したいという意思があるからこそだと思います。 ーーー そうした部署で今回、リーダー育成に力を入れたのはどのような背景からだったのでしょうか? 林様:組織力強化のためには、マネジメント層はもちろんのこと、組織の要となるリーダー層の育成が不可欠と感じたからです。リーダーは各種案件検討やミーティング運営を行うだけでなく、所属メンバーの育成にも携わるといった役割が求められます。 当社の業務は大変多岐にわたっており、人事と言っても給与計算だけではなく、各社の人事労務サポートや社会保険の対応なども行います。総務はオフィスのレイアウトから業務効率化、名刺の作成や発注など、様々な業務があります。 そのため、マネジャーが一人で、各メンバーの業務の進捗確認や案件検討の細部まで目が届かないこともあります。また、業務スキルを身につけていくためには、実際の業務を進めながらスキルアップのための指導や育成を行うことが必要になります。 加えて社会保険料の計算や給与支給など、抜け漏れやミスが許されないのがわれわれの業務の特色でもあり、マネジャーをサポートするリーダーの強化・育成が不可欠な状況となっていることから、今回の研修プログラムを検討することとしました。 ーーー リーダー層には具体的にどのような力を付けてほしいとお考えになりましたか? 林様:理想像としては、リーダーが担当業務をチームで回す中心になってほしいと思っています。そのためには、業務計画、進捗管理、振返りといったPDCAを回し、課題があれば各メンバーとひざを突き合わせて解決に向け、時には上長を巻き込みながら、やっていくことを期待しています。 さらに、コミュニケーションだけでなく、物怖じせずチームを巻き込みながら連携する力が必要と考えています。また、リーダーには部署をまたいだ折衝をしたり、自部署以外にシナジーを生み出したりするような働きかけも期待しています。部署トータルのチーム力を発揮して、横の連携を取ることも期待しています。結果として、マネジャー候補の育成にもつながればと考えています。 研修への期待 「連携」意識を強化するための研修設計 ーーー リーダー向けの研修企画に当たり、NOKIOOをパートナーに選んでいただいた理由や「ヘルプシーキング行動研修」に期待されたことを教えて下さい。 島倉様:2022年に部内全員を対象にNOKIOO様の「期待役割マネジメント研修」、2023年に「チームの成果を"ファシリテーション"で引き出すリーダー研修」を実施し、反響が大きかったこと、当方の業務特性や状況をNOKIOO様に理解していただいていたことが背景にあります。2024年はさらにリーダーにフォーカスした研修を実施したいと思い、NOKIOO様に相談し、その時点での当部の課題感に合ったものを提案いただきました。 林様:実績があったこと、また「われわれのことを分かっていただけている」感覚は大きかったです。 ーーー ありがとうございます。私たちも以前の研修からの橋渡しとなるように、今回の研修を設計させていただきました。御社として、今回の研修企画で「要」になった考え方はありますか? 島倉様:まさに「ヘルプシーキング」の考え方です。問題が出てきたらすぐに解決策を考えるのではなく、ありたい姿を考えるなど。確かに言われればそうなのですが、私自身も自分一人で考えるとすぐ問題解決の方に走ってしまうことがありました。 研修では、一人で抱え込まず、チームの成果を最大化するための技術としてヘルプシーキングがあること、かつ「ヘルプシーキング=単なる他人依存」ではなく、主体性があったうえでのヘルプシーキングという意識を醸成したいと考えました。そこで私たちの部署では、「ヘルプ」というよりは「連携」というワードでの表現や補足をするなど内容を変更いただきました。 ーーー 研修の成果を最大化するために、皆さんに受け取ってもらいやすくする方法を共に考えさせていただきました。 研修後の変化・効果 自発的な連携行動も!研修で芽生えた新しいリーダー像 ーーー 今回の研修「『ヘルプシーキング行動研修』“連携”によって成果を上げるチーム運営」は部署の各課のリーダー8名を対象に、基礎編と発展編を実施しました。1回目を受講した後、職場での実践を経て、どのように発揮できたかフォローするため、2回目の発展編は4ヵ月後に行いました。2回の研修を終えて、受講したリーダーからはどのようなお声がありましたか? 島倉様:研修後のアンケートでは「リーダーだからと気負う・抱え込むことはせず、みんなで考えることで、周囲に『連携』の実体験を提供したい」「連携とは思っているより簡単な行動ばかりだ」といった声が挙がりました。 ーーー 「リーダーシップ=引っ張る」という固定概念にとらわれず、ヘルプシーキングの考え方をベースに「連携」に目を向けられるようになったのですね。企画者として、受講者の変化や効果を感じられたポイントがあればお聞かせいただけますか? 島倉様:1回目の受講後から、各自が「連携」を実践していることを感じていました。例えばチャットの投稿に対して「いいね!」スタンプを押してくれる、今まで返信のなかった人から「ありがとう」と返信があるといった小さなことも含めて、「連携」を意識した行動が見られました。 また、2回目の研修では、当日、時間内で終わらなかったワークについて、リーダーたちが「できなかったところは、またやりましょう」と言って自発的にミーティングを開いてくれました。このように実践行動が生まれることが最初の狙いでしたので、そこは達成できたと思っています。今後、継続的に実践することでPDCAを回せたら良いなと思います。 ーーー 受講者の行動の変化が見られたのは、嬉しいですね。林さんも変化や効果をお感じになったことはありますか? 林様:最初は「自分はなぜ研修に呼ばれたのだろう」とおそるおそる参加した人がいたかもしれません。しかし結果的に、会社から期待されていることを前向きに受け止め、「自分たちは人事総務業務部の中核とならなければいけないのだ」と理解してもらえたと思います。 ーーー 前向きに受け止めてもらえたのは、なぜだと思われますか? 島倉様:組織としてリーダーに期待することを、しっかり伝えたからだと思います。NOKIOO様の研修の冒頭に時間を設けて、部長から発信をしましたし、2024年から実施したリーダー意見交換会でも部長陣から何度も丁寧にメッセージングしていきました。 その際、「あなたたちはリーダーだから集めた」のではなく、「私たちは組織をこうしていきたい」「それにはリーダーの皆さんの力が必要です」とポジティブに伝えたことが良かったのではと思います。 林様:リーダーがイキイキと働いてくれると、マネジャーは違うところに目を向けることができ、どんどん良い方向に動けると思います。なので、本当にリーダー層には期待しています。これまで期待を言葉にして伝えることができていなかったのは、マネジャー層の反省点でもあります。 ーーー リーダーの皆さんが負担に感じないように、未来志向で発信されたというのが素敵だなと思いました。 今後に向けて リーダーのアウトプットを後押し。組織成長に向けた次のステージへ ーーー 今後、実践していきたいことについてお聞かせください。 島倉様:今後は、リーダーが研修でインプットした内容を日々の仕事の現場に落とし込んでいくフェーズです。連携をチームの成果や組織の力に変えていくために、リーダー主導で推進していきます。 林様: 研修を経てリーダーたちの間で自発的にディスカッションするような動きが生まれてきたのは、マネジャーとして本当に嬉しく、研修をやって良かったと思っています。研修の「インプット」を受け、2025年はリーダーが力を発揮する「アウトプット」のフェーズです。われわれはそのための地固めをしていきます。リーダーもいろんなタイプの人がいますので、個々の適性や強みに合わせてアウトプットできるように手助けしたいと思います。 ーーー 研修の中でも、「リーダー同士のヘルプシーキングから始めてみよう」という声も挙がっていましたね。 林様:はい。これまで、会社で近くに座っていても、総務と人事では業務上の接点がなく、リーダー同士で会話する機会が少なかったようです。今回、研修はリアル開催にしたこともあり、接点を持つことや、同じ目線で悩みを共有できたのは良い成果の1つだったと思います。 研修をきっかけにリーダー層の連携がかなり良くなってきていると思います。この火を消さないようにしたいです。