取り組み概要背景・組織の成長とともにマネージャーへの負荷が高まり、成果創出やチーム運営が一部の役職者に依存しやすい状況が見られた。・2024年には「役割マネジメント研修」を実施し、チームとしての成果や個々の期待役割について対話する土台が生まれた。・一方で、その役割を日常のマネジメントや目標運用にどうつなげていくかが次の課題となっていた。取り組み・役割の整理を土台に、チーム方針と個人目標を接続する「目標設計研修」を導入。・上位方針 → チーム方針 → 個人の期待役割 → 個人目標の関係性を整理し、目標を“管理のための指標”ではなく、対話と意思決定の軸として活用することを目指した。・マネージャーだけでなくメンバー自身が目標の意図を理解し、相談や修正を行いながら運用できる状態づくりを重視して設計。結果とこれから・チームの方針と個人目標を接続して捉える視点が共有され、目標を起点とした対話や認識合わせの重要性が社内で意識され始めている。・今後は目標設計の実践を通じて、役職者だけに依存しない“チームで成果をつくるマネジメント”の定着を進め、全員がマネジメントに関わる組織づくりにつなげていくことを目指す。目次実施の背景700名規模への拡大と連携の難しさーーー 本日は、御社の組織開発の取り組みについてお伺いします。まずはviviON様の事業や組織の特徴について教えてください。林様:弊社は東京・秋葉原に拠点を置くエンターテインメント企業で、漫画やゲーム、VTuberなどのコンテンツを扱っています。コンテンツを流通・販売するプラットフォーム事業と、コミック制作などを通じてIPを創出する事業の二軸で展開しています。社員は自社サービスやコンテンツへの愛着が強く、「好きなものを好きと言える世界観」に共感するメンバーが多い会社です。互いの“好き”を尊重する温かいカルチャーがあります。ーーー 林様ご自身は、長く組織の成長を見てこられたそうですね。どのような変化や課題があったのでしょうか。林様:はい。前身の会社時代から在籍しており、入社から17年になります。もともとはデザイナーとしてキャリアを積んできましたが、組織をマネジメントする立場を経験する中で、2年ほど前に立ち上がった組織開発部門の責任者を務めることになりました。私が入社した当時は従業員30〜40名ほどでしたが、現在は700名を超える規模になりました。ここ5年ほどは毎年約100名規模で採用を行い、急速に拡大しています。その結果、事業やチームが細分化する中で、横の連携が難しくなりました。本来であれば連携によって推進力を高められるはずですが、実際には各事業部やGM(ゼネラルマネージャー)のやり方に依存する状態でした。人事制度の解釈や運用にもばらつきが生じ、縦割りの傾向が強まっていました。ーーー そこから、どのような取り組みを始められたのでしょうか。林様:まずは「連携はどうすれば生まれるのか」という整理から入りました。その一つが目標設計の見直しです。弊社ではOKRを導入していますが、事業部ごとに捉え方が異なっていました。そのため、共通言語づくりに初年度は力を入れました。ーーー その流れの中で、2024年度にNOKIOOの役割マネジメント研修を導入いただきました。林様:はい。実施してみてまず感じたのは、「横での対話がほとんどなかった」ということでした。マネージャー同士が同じレイヤーで、自分の役割や目標について話す機会がなかったんです。グループワークを通じて、「みんな同じような悩みを抱えている」と気づき、心理的安全性が生まれました。ただ、それを実践にどう落とし込むかが次の課題だと感じました。そこで、もう一段階引き上げる必要があると考え、次の打ち手を検討しました。研修企画のポイント役割と目標を接続する研修企画 ーーー 役割マネジメント研修を経て、次はOKR、目標設計に踏み込まれました。この流れはどのようにお考えだったのでしょうか。林様:何を共通化すべきかを考えたとき、やはり“目標”が軸だと思いました。OKR自体は導入していましたが、事業部ごとに捉え方が違っていて、チーム方針が個人目標にどうつながるのか、その後の実行や振り返りまで、十分に回しきれていなかったのです。役割マネジメント研修でチームとしての期待役割は整理できましたが、それをOKRや個人目標に接続し、運用まで回すところに課題があると感じました。だったらテーマを広げるのではなく、この流れを強化しようと考え、目標設計の研修についてNOKIOOさんにご相談しました。⇧役割マネジメント研修と目標設計研修の位置づけを示した図。役割マネジメント研修ではリーダーが、上位方針から「自チームの方針」を言語化し、目標設計研修ではメンバーがチームの期待役割と自身の目標を接続することで“メンバーを介した”事業推進力の強化を図ります。ーーー 研修企画に当たっては、受講者層の選定についても丁寧に検討を重ねましたね。林様:はい。弊社では人数が増え、組織が階層化する中で、マネージャーの下に複数のユニットがあり、それぞれにリーダーやサブリーダーがいる構造です。実際の1on1も、メンバーとリーダー、リーダーとマネージャーという形で行われています。前回の役割マネジメント研修はサブマネージャー以上を対象にしましたが、マネージャーだけが学び、そこからリーダーに伝える、という形だと、どうしても負荷が集中してしまいますし、浸透も難しいと感じていました。そこで、今回はリーダー・サブリーダー層まで含めて実施する方向で検討を進めました。ーーー 私たちNOKIOOは「全員マネジメント」という思想のもと、目標を通じてチーム全体で成果を生み出すことを重視しています。マネージャー層に限定せず、チーム運営に関わる層全体で共通認識を持つことが重要ではないか、という視点でご提案しました。林様:はい。まさにそこはヒントをいただいた部分でした。研修は当日だけで完結するものではなく、目的の共有と参加者の納得感をどうつくるかが重要だと考えています。その点で、NOKIOOさんに「何のためにやるのか」という目的の整理や受講者の選定から伴走いただけたことは大きかったです。ーーー 松塚様は運営のお立場から、工夫や印象に残っている点はありますか。松塚様:今回は、階層やマネジメント人数に応じて4つのグループに分けて実施しました。私は運営のフォローとしてほぼ全回に参加しましたが、グループごとに講師の説明の仕方や進め方が微妙に異なっていたのが印象的でした。階層や雰囲気に合わせて、言葉の選び方や事例の出し方を調整してくださっていました。また、基礎編と発展編の間でアンケートを取り、その結果を踏まえてグループワークの時間を増やすなど、実施しながら内容を調整していただけた点も印象に残っています。一度設計して終わりではなく、その場の反応を見ながらチューニングしてくださっている感覚がありました。ーーー ありがとうございます。私たちは、研修前・研修中・研修後を一連のプロセスとして捉えています。実施しながら調整している点をそのように感じていただけたのは、とても嬉しいです。⇧NOKIOO小田木との打ち合わせの様子。研修実施に向け、目的や進め方について事前に対話を重ねた。受講後の変化目標設計をチームで考える文化へーーー 前回の研修ではチームの期待役割を言語化し、今回はそれをもとに、メンバー一人ひとりの期待役割を具体化する取り組みを行いました。目標設計研修に取り組まれて、組織開発部門として感じた変化はありますか。林様:これまで目標設計を主にマネージャーが担っていましたが、サブリーダー層も含めて学んだことで、チーム内で目標設計について話す機会が明らかに増えました。これは大きな変化だと感じています。ーーー 現場の受け止めや意識の変化はいかがでしたか。林様:実際にマネージャーからは 「対話という手法を改めて知り、成果につなげるやり方が見えた」、リーダー層からも 「目標設計を我流でやっていたが、改めて学び直すことができた」 という反応がありました。また、「目標は立てて終わりではない」という認識が広がったことも印象的でした。目標は上司が決めて下ろすものでもなく、本人が考えて提出して終わりでもない。会社からの期待と本人の意志を対話の中で接続し、同じ景色を見ながら設定していくことが大切だ、という理解を持つ方が増えました。今後に向けて「対話」と「自律」を次の一歩へーーー 今回の研修を経て、今後、組織開発としてどのように展開していきたいとお考えですか。林様:対話には時間がかかりますが、最初にきちんと向き合うことで、共通認識や信頼関係が生まれ、結果的にチーム運営がスムーズになるという側面もあると思っています。ですので、「対話をどう位置づけ、どう実践していくのか」というテーマは、次の一歩として取り組んでいきたいと考えています。また、自律という観点も重要だと感じています。目標設計や対話は、マネジメント側だけが頑張るものではなく、メンバー側も主体的に関わっていくことが必要です。来期以降は、マネージャー層だけでなく、メンバー側も含めて「自律」と「対話」をテーマにした学びの機会をつくれたらと思っています。その際は、すべてを内製するのではなく、NOKIOOさんのような外部の知見も活用しながら、スピード感を持って進めていきたいと考えています。ーーー 数年後、目指したい組織の姿があれば教えてください。林様:弊社には、「ユーザーとクリエイターが楽しみながら、幸せに生きていける社会にする」というパーパスがあります。その実現に向けて、一人ひとりが力を発揮するのはもちろんですが、チームとして掛け算の成果を生み出せる状態を目指したいと思っています。個々の力が重なり合い、我々自身も楽しみながら、100%の力が130%や200%になる。そんな組織に進化していけたらと考えています。ーーー その挑戦に、対話と目標設計がどう力を発揮していくのか、これからがますます楽しみです。本日はありがとうございました。