導入企業様名株式会社ユタカ技研 研修名役割マネジメント研修 インタビュイー人事・総務部 人事ブロック 渡邉 龍一様 人事・総務部 人事ブロック 芳賀 弥生様 ※文中敬称略 ◆取り組み概要【取り組み背景】・自動車業界が100年に1度の大規模な変革期を迎えている ・変革を前提とした新たな教育体系の刷新を実施 ・社会全体の多様性・複雑性が増し、マネジメントがより難しくなっているため 、特に管理職への研修機会の拡充が必要 【解決したい課題】・エンゲージメントの低下、離職への対応として、管理職からメンバーへの対話や目標共有の質を上げたい 【結果】・受講者である管理職の「組織から求められる部門の役割を理解し、それに見合った行動を取っている」という回答が、3割から8割に上昇。 ・対話相手であるチームメンバーからも、「部門成果・役割に対しての理解が深まった」という声が多く寄せられた。 事業環境や組織風土 自動車電動化の時代へ新たな事業の柱を構築中 NOKIOO:まずは御社の事業内容や組織風土について教えてください。 渡邉:ユタカ技研は「Clean for the Future(クリーン・フォー・ザ・フューチャー)」をカンパニースローガンに掲げ、最近は自動車用モーター部品に力を入れつつ、自動車エンジン部品の排気システム、その他、トルクコンバーターなどの地球環境に貢献する製品を研究開発から生産まで一貫した体制で行う、グローバル企業です。 現在、モーター部品を中心に製品ポートフォリオのアップデートに取り組んでおり、チャレンジを推奨する組織風土です。社員1人ひとりが役割を改めて認識し、年齢や肩書き、職位にこだわらず、前面に出ていくようなスタイルが推奨されています。その実例として、役員が出席する会議でも若手社員が積極的に報告を行っています。 NOKIOO:歴史あるユタカ技研様は、今、変革期にあるのですね。組織の具体的な目標としてはどのようなものを掲げていますか? 渡邉:経営目標として2030年ビジョン「独自技術を強化拡大し、新しい時代に『期待される企業』となる」を掲げています。電動化の時代に向けた基盤を確立し、新しい価値を生み出す商品を創り、新たな事業の柱を構築していくことに力を入れています。一方で、足元の事業の柱である既存部品については、事業効率化を追求し、収益や競争率を上げていきます。これらにより継続的な成長を目指しています。 研修導入の背景 「変革」を前提とした教育の必要性を認識 NOKIOO:先ほど伺ったチャレンジというキーワードは、今回の研修導入背景にもつながると思います。導入に至った背景や課題感について教えていただけますか? 芳賀:まず一番大きなところでは、事業背景として自動車業界が100年に一度の大規模な変革期にあることです。 今後の電動化に対応していくためには、これまでの収益の柱であった駆動部品や排気部品に代わり、主力製品の領域を大きく転換していく必要があります。未知の領域にチャレンジするためには、従来の教育だけではなく、変革を前提とした新たな教育が必要となります。 NOKIOO:事業の大きな変革期に当たり、社員の教育体系も刷新したいとお考えになったのですね。 芳賀:はい。特に人事としては、管理職へ学びの機会を十分に提供できていないという課題がありました。これまで当社では階層別研修として、入社時研修や新任研修、マネジメント先行育成研修等には力を入れてきましたが、既存の管理職のスキルアップは各自の自己啓発に委ねてきたところがあります。 しかし昨今、業務が複雑化したり、人材が多様化したりする中で、マネジメントの難易度が増しています。また管理職は現場の事業推進や風土醸成を左右する存在です。そこで、管理職の困りごと解決やスキルアップにつながる教育機会の必要性を改めて認識し、会社として管理職の方たちに体系的な学びを提供したいと考えました。 NOKIOOへの期待や共感 管理職の役割やマインドに焦点を当てた研修を NOKIOO:研修企画に当たり、NOKIOOにご相談いただくに至った理由や決め手を教えていただけますか? 芳賀:主任以下の階層別研修では「明日から使えるスキルの習得」をテーマにしていますが、管理職に対してはそれらに加えて、役割やマインドに焦点を当てた研修をしたいと考えました。管理職には高い視座を持って、本質を見極めたうえでチームメンバーを導いてほしいからです。 その視点で研修会社を探す中で、偶然NOKIOOさんとの出会いがありました。われわれの課題感に対して寄り添って提案してくださったことが、一番の決め手でした。 NOKIOO:とても嬉しく思います。NOKIOOからは「マネジメントとしての役割認識」をテーマに、チームで成果を上げるためのマインドセットや実践スキルを学ぶ研修を基礎編、発展編の2日程でご提案しました。企画で共感いただいたポイントがあれば教えてください。 芳賀:自動車業界は大きな変革期にあり、だれも正解を持っていないという状況下で、従来の「勝ちパターン」に依存せずチームでの成果を上げるというNOKIOOの考え方は、今のユタカ技研に必要であると感じました。 渡邉:少し補足すると、私たちは従来の「勝ちパターン」を決して否定するわけではなく、尊重したうえで、次世代に向けて新しい価値を生み出す仕事を考えるフェーズに来ていると思います。「考える」ことは決して経営層だけの仕事ではありません。管理職に自部門が何を目指しているのか「考える」機会を提供することが、組織としてのパフォーマンスを上げるのではと思いました。 芳賀:研修の形態もとても良いなと感じました。元々1日の対面研修を依頼したところ、実践期間をはさんで半日×2日の研修を提案いただいたのは、いい意味で期待を裏切られました。実践期間をはさむことで、受講者が学んだことを実践して課題を認識したり、受講者同士で課題解決に向けた議論ができたりしました。 研修後の変化・効果 研修内容の実践が、エンゲージメント向上にも寄与 NOKIOO:ここからは研修導入後のお話を伺います。実施してみて、受講者にどのような変化があったとお感じになっていますか? 芳賀:受講者本人に対するアンケートでは「組織から求められる部門の役割を理解して、それに見合った行動を取っている」という項目が研修前の37.5%から80.0%に増加し、数値としても変化が表れました。 具体的な行動で面白いなと思ったのが、チームの目線を合わせるための工夫として、事務所の机のレイアウトを変更したという話です。メンバーとのコミュニケーションを取りやすくしたそうです。 NOKIOO:いい取り組みですね。今回は受講者である管理職の方々には、2日程の研修を終えた後、チームメンバーと対話ミーティングを行うという事後課題を設定しました。メンバーのご反応やアンケート結果はいかがでしたか? 芳賀:実は今回、研修を企画した事務局として一番成果が出たなと感じたのが、メンバーへのアンケートでした。 世の中の潮流でもありますが、ユタカ技研では若手や中堅社員の離職が大きな課題でした。彼らからは自社の製品や将来性に対する不安を感じる、また、会社や部門のビジョンの共有をもっと拡充して欲しいといった声が挙がっていました。 こうした中、事後課題をきっかけとして、管理職とメンバーがそれぞれの施策や仕事の意義、求められる成果について双方で話し合ったことで、メンバーからは「部門が実現したいことについて目線合わせができた」「日々の業務や頑張って生み出したアウトプットが、経営戦略にどう寄与するかというところまでイメージできた」という良い反応がありました。 NOKIOO:御社では1on1ミーティングなどのお取組みもされていますが、メンバーとの対話に深い手応えを感じてくださったのですね。 芳賀:はい。メンバーとの対話は今までもできていそうで、実はできていなかったという声が多くありました。今回の研修は、メンバーのエンゲージメント向上にもつながったと考えています。 NOKIOO:受講者の上司からはどのような反応がありましたか? 芳賀:研修の効果測定として、受講者本人だけでなくその上司やメンバーにもアンケートをとりました。その結果、上司からは「部門目標の共有や具体的な達成方法についての対話機会が増えた」「チームの成果を上げるために、成果の定義をメンバーに伝え理解させる行動が常にできるようになった」といった声が挙がりました。上司の目から見ても、各職場における行動変容があったと言えます。 今後に向けて 学びを通した個人の成長が、企業成長につながる NOKIOO:最後にユタカ技研様として、今後の社員教育や学びの機会についてどのようなことを目指しているか、お聞かせいただけますか? 渡邉:私たちの会社の中ではまだまだ、学ぶことの重要性や学びを通じて自らが成長することの楽しさが十分に認識されていないと感じています。これらをもっと社内に広めていきたいです。その結果として、事業戦略が実現できる。そういうエコシステムをわれわれ人事が作っていけたら良いなと考えています。 2026年にはユタカ技研という社名ができて40周年になります。浜松という製造業の集積地域を拠点に長年積み上げてきた実績や経験を、しっかり次世代のビジネスにもつなげていきたい。浜松から世界に向けて発信し、新しい時代に期待される企業でありたい。そのために、人事としてもさまざまな施策を打っていきます。 ▼インタビュアーコメント(NOKIOO) この度、変革を見据えた教育体系の見直しや管理職への教育機会強化という重要なタイミングで、ユタカ技研様とご縁をいただけたことを大変嬉しく思います。 ユタカ技研様が今回取り組まれている課題は、製造業のみならず多くの企業が共通して抱えるテーマでもあります。リーダーが部門やチームの成果やビジョンを明確に言語化し、その内容をメンバーとしっかり対話して合意形成を進める。このプロセスは、メンバーのエンゲージメントを高め、より高い成果を生み出す組織づくりの基盤になると考えています。 また、ユタカ技研様とは同じ地域(静岡県浜松市)に本社を構える企業同士でもあります。今後も100年に1度の大変革を、組織づくりや人材育成の面でお手伝いできれば幸いです。