チャットから見えた現場のリアルと共通課題4月、新年度が始まり、多くの人事担当者や管理職を悩ませるのが、期初の「目標設定」の業務です。NOKIOOが開催した本トークライブでは、成瀬と古賀が登壇し、参加者の皆様とリアルな悩みを共有しながら、現場を変え、成果を生むためのプロセスを深掘りしました。ランチタイムにもかかわらず多くの参加者が集まり、チャット欄は開始早々から共感の声であふれました。「今期の目標設計、正直どんな感じ?」という問いかけに対し、「これから目標設計の仕組みをつくる・見直す段階」「現場の目標の質にバラツキがある」といった回答が多数を占めました。中には「私の担当の目標って、たぶん人事の人は見てないと思います」「仕組みを作るのが何年も目標になっている」といった率直なコメントも寄せられ、目標設計が形骸化しやすい現場の実態が浮き彫りに。評価と並行して進めなければならない業務の負担や、期日までに終わらせることが目的化してしまう状況など、多くの組織に共通する課題が明らかになりました。こうした現状を踏まえ、本イベントでは「目標をどう設計すれば現場で機能するのか」という問いに対し、実践的な視点から具体的に掘り下げていきました。「目標設定」から「目標設計」への転換本イベントで最も重要なキーワードとなったのが「目標設計」です。「設定」とは、ゴールそのものを決める「点」のイメージです。期末の評価のためにとりあえずシートを埋め、期日までに提出して終わり、という状態に陥りがちです。一方で「設計」とは、上位方針や期待される役割を元に、ゴールに至るプロセスや活動そのものを「線」や「面」でデザインしていくことを意味します。チームとして求められる成果や戦略、重要な活動、成果指標に加え、発揮してほしい強みや期待される挑戦までを含めて設計します。自分の業務がチーム成果とつながっている実感が生まれることで、行動の優先順位が明確になり、日々の業務に集中できるようになります。このプロセスが、新任管理職の立ち上がりを早め、チームのエンゲージメントを高める鍵となります。AIは目標設定の救世主となるか?トークライブでは、「AI上司 vs 人間上司」という実証的な取り組みも紹介されました。成瀬は、AIに組織ミッションや目標設定の考え方を事前に学習させ、300文字の目標シートを作成しました。そのシートをもとに、20年の経験を持つ上司との面談に臨みます。一見整っているように見える目標も、面談ではわずかなやり取りで前提の甘さが浮き彫りになりました。「10%って月2人しか増えないけど、それで届く?」「他の選択肢は考えた?」といった問いを受けた瞬間、言葉に詰まってしまったといいます。 この体験から見えてきたのは、AIのアウトプットをそのまま使うことの限界です。AIが生成した言葉は、自分の内側から出てきたものではないため、問いを深められたときに説明しきれません。一方で、AIは思考を広げる“壁打ち”としては非常に有効です。重要なのは、AIのアウトプットで完結させるのではなく、それを起点に自分の言葉で再構築し、対話を通じて納得できる状態まで磨き上げることです。こうしたプロセスを経てはじめて、目標は現場で機能するものへと変わっていきます。AI時代においては、この「言語化と対話の質」こそが、これまで以上に問われています。成果を生む目標設計、3つの法則では、どうすれば現場の目標設計の質を高めることができるのでしょうか。古賀から、実行性を高め、現場の行動を変えるための具体的な「3つの法則」を解説しました。法則1:上位方針との接続目標設計とは、会社の方針、チームの方針、そして個人の役割と貢献を繋ぐプロセスそのものです。「組織の目標が壮大すぎて自分の日々の業務との紐づけが難しい」という参加者の声もありましたが、現場の担当者が「自分の仕事が組織の収益や目的にどう繋がっているのか」を理解できなければ、モチベーションは生まれません。方針をただ上から降ろすのではなく、対話を通じて自分の業務と紐づけていく接続のコミュニケーションが不可欠です。法則2:成果を定義し握る多くの場合、成果は「売上1000万円」といった目標数値だと誤解されがちです。しかし、真に合意すべきは「行動の結果、何を実現させたいのか」という達成状態の定義です。スライドでは、目指すべき状態である「実現する成果」を頂点とし、それを測る「評価軸(指標)」、重要な活動である「成果要件(プロセス)」、そして成果実現に必要な「スキル要件(能力開発目標)」がツリー状に展開される図解が示されました。「強み・スキルは過去のものだが、今後どう強化したいかという話であれば未来のものになる」という成瀬の言葉通り、単なる数値やタスクの羅列ではなく、「こういう状態を実現する」という未来のイメージとそれに必要なスキルを、上司と部下で具体的に握り合うことが本質的な目標設計です。法則3:共通モノサシで磨く「良い目標とは何か」についての共通認識、つまり「モノサシ」を組織全体で持つことが重要です。「チーム成果との接続ができているか」「行動に移せる具体性があるか」「行動量の定量化ができているか」といったチェックリストを共有することで、説得力のあるフィードバックが可能になり、上司の目標編集にかかる時間も劇的に効率化されます。研修が増え続けて整理できていないという人事の課題も、この共通のモノサシを軸に体系化することで、解決の糸口が見えてきます。参加者の声から見えた目標設計の課題今回のトークライブが特別な場となったのは、参加者の皆様から寄せられた圧倒的な熱量と、そこから生まれた予定調和ではない深い気づきがあったからです。「評価をする時に、どこまでできたら期待以上なのか、基準を明確化するのが難しい」「目標は設定したものの、日々の業務に押し流されて忘れてしまう」といった声に対しては、行動の具体化と継続的なすり合わせの重要性が共有されました。結果だけでなくプロセスを評価し、日常的に対話を重ねることで、目標は“生きたもの”として機能します。また、「人事部門が『ひとごと部門』と呼ばれないようにしたい」というコメントには、多くの参加者が共感のリアクションを寄せていました。まとめと展望:チームの景色を変えるために目標設計は一部の優秀な管理職だけの属人的なスキルではなく、組織全体でトレーニング可能な技術です。一人で頑張る組織から、チームで成果を出せる組織へ。NOKIOOでは、組織方針の策定支援から、オリジナル教材の開発、そして全社員向けの目標設計トレーニングまで、一貫した伴走支援を行っています。制度を作るだけでなく、現場で機能させること。その実行力こそがこれからの組織に必要です。未来への問いかけあなたの組織で設定されたその目標は、本当に「成果に繋がる設計」になっていますか? AIが簡単に言葉を紡ぎ出す時代だからこそ、私たち人間の「本気の対話」と「共通のモノサシ」が、現場を変え、チームの未来を形づくります。