熱気あふれる「まじめな雑談」の幕開け2026年7月9日、富士通 Uvance Innovation Studioにて、「HR “Manabi” session Vol.1 ー多様性が活きる組織を、対話と学びからつくるー」を開催しました。当日は20社の皆さまをお迎えし、40名が一堂に会しました。人事・人材育成・組織開発に関わる責任者・推進担当者を中心に、多様な企業の皆さまにご参加いただきました。HR “Manabi” sessionは、人材育成、組織開発、DE&I、エンゲージメント、ウェルビーイングなど、HRに関わる答えのないテーマについて、会社や組織の壁を越えて問いを持ち寄り、他社の実践や悩みから学び合う少人数制の対話型イベントです。Vol.1のテーマは、「多様性が活きる組織を、対話と学びからつくる」。開始前から会場のあちこちで自然な会話が生まれ、名刺交換や自己紹介をきっかけに、参加者同士の交流が始まっていました。プログラム開始前から、すでに「会社を越えて学び合う場」の空気が立ち上がっていたように感じます。ファシリテーターのNOKIOOの成瀬より「本日のグラウンドルール」として設定されたのは、ただ一つ。「まじめに雑談してください」日頃、会社の中では「結論は何か」「次に何を決めるのか」と、議論の着地を急がれる場面も少なくありません。しかし、この日は、正解を急ぐのではなく、立場や組織を越えて、問いや違和感、悩みを持ち寄る時間にしたい。そんな想いから、HR “Manabi” sessionはスタートしました。「学びの場」が組織をつくる。全員マネジメントの思想対話の土台として、NOKIOO代表の小川より、私たちが大切にしているコンセプトをお話ししました。NOKIOOのミッションは、「日本のチームの景色を変える」ことです。自ら学習し、連携して成果を上げる体験と習慣を、組織の中にどうつくっていくのか。その核となるのが、NOKIOOが提唱する「全員マネジメント」という考え方です。制度や研修を整えるだけでは、現場の行動や組織文化はなかなか変わりません。個人の学びがチームの学びとなり、組織の力へ変わっていくためには、学びを共有し、発信し、受信する仕組みが必要です。そして、その中に生まれるのが、今回のイベントでも大切にした「まじめな雑談」です。安心して語れる場で、互いの違いや問いを持ち寄る。その対話の積み重ねが、関係性を変え、思考を広げ、組織が前に進む力につながっていきます。味の素冷凍食品 多田氏に学ぶ、泥臭く熱い対話の軌跡前半のセッションでは、味の素冷凍食品株式会社 人事部長の多田裕之介氏に話題提供をしていただきました。多田氏は、約20年間マーケティングなどの事業部門で経験を積んだ後、2年前に人事領域へ異動。着任当初、経営陣から提示されたのは、「多様性を強みとした、自律と思いやりにあふれた組織」というコンセプトでした。しかし、それは非常に概念的で、最初は「何のためにやるのか」がつかみきれなかったと、多田氏は率直に語ります。多田氏が向き合ったのは、長年の成功体験による「認識の固定化」や、「型がないと不安」という無意識の前提が、挑戦を阻害している組織の姿でした。特に印象的だったのは、会社のパーパスと、従業員一人ひとりの「マイパーパス」の重なりを探求する取り組みです。当初は、従業員にパーパスの言語化を求めても、どうしても「会社が求めていそうなこと」を書いてしまいがちだったそうです。それに対し、多田氏は次のように指摘しました。「会社がすべきことに、自分は何を調整すればいいんでしょうか、という順番が逆になっている」そこで、パーパスという言葉に縛られず、「今まで一番嬉しかったことは何か」「腹が煮えくり返るような怒りのエピソードは何か」といった、一人ひとりの奥底にある価値観を問うアプローチへ切り替えていったそうです。また、安定運営に関わる部門と、新しい取り組みに関わる部門との間にある見えない対立にも向き合いました。多田氏は、各部門が部分最適で実施していた表彰イベントを統合して全社の一大アワードを開催。そこで大賞に輝いたのは、華々しい新規事業ではなく、多様な国籍の従業員を抱えながら、毎日安定した稼働を守り抜いた工場の取り組みでした。新しい挑戦だけでなく、日々の安定を支える仕事にも光を当てる。多様性を「違いがあること」で終わらせず、それぞれがお互いに尊重し合い、感謝・称賛し合う組織文化を醸成していく実践が語られました。人事として新しい施策を打ち出すたびに、現場からは「忙しさがわかっているのか」「もうお腹いっぱいだ」と言われることもあったそうです。それでも多田氏は現場に赴き、こう語ります。「一回パンチを受けてから、ちゃんと話をしに行く」その泥臭くも熱意ある姿勢に、会場の参加者は深く共感し、メモを取る手が止まらない様子でした。 参加者の声多田氏の実践のリアルさや、施策全体のストーリー性に対する声が寄せられました。「人事部門として取り組むべき方向性を可視化するまでのストーリーが聞け、Q&Aでもリアルな回答をいただけたので、非常に参考になりました」「全ての施策がストーリーになっていること。自己のパーパスの掘り起こしの苦労と工夫、そこから会社パーパスへ紐付けていく流れが印象的でした」「人事施策の理解を現場に得るためには、まず先に相手の考えや事情を聞くこと。そして繰り返し伝え続けることが大切だと感じました」前編のまとめ前半では、NOKIOOが大切にする「全員マネジメント」や「まじめな雑談」の考え方を共有したうえで、味の素冷凍食品 多田氏の実践から、多様性を活かす組織づくりのリアルを学びました。多様性を理念や制度として掲げるだけでは、組織は変わりません。一人ひとりの価値観に向き合い、現場に足を運び、時に反発を受け止めながら、対話を重ねていくこと。そこに、多様性が組織の力へ変わっていく入口があるのだと感じる時間でした。後編では、参加者同士が自社の課題や問いを持ち寄り、「多様性は本当に成果につながっているのか」という問いについて、会社を越えて対話した様子をお届けします。>>後編はこちら