参加者同士の対話から見えた、多様性を成果につなげるためのヒントHR “Manabi” session Vol.1 開催報告の前編では、NOKIOOが大切にする「全員マネジメント」の考え方と、味の素冷凍食品株式会社 人事部長 多田裕之介氏による、多様性を活かす組織づくりの実践をご紹介しました。>>前編はこちら後編では、参加者同士の対話型ワークショップで生まれた気づきと、イベントを通じて見えてきた「多様性を成果につなげるためのヒント」をお届けします。 参加者同士の対話:多様性を理念や制度の話に閉じない後半は、「多様であることと、その多様さが成果につながっていることは同じなのか」という問いを起点に、参加者同士で「まじめな雑談」を深めました。まずは、自社の状態について、「多様である度合い」と「それが成果につながっている度合い」をそれぞれ100点満点で採点し、テーブル内で共有しました。このワークを通じて、予定調和ではない、生々しい現場のリアルが見えてきました。あるテーブルでは、「中途採用を積極的に行い、多様な経歴の人が集まっているものの、強い企業カルチャーやビジョンへの共感度が高すぎるため、結果的に同じ思考の人が集まる単一化が起きている」という逆説的な課題が共有されました。多様な人材を採用しているはずなのに、いつの間にか同質化してしまう。多くの参加者が、このジレンマに深く考え込んでいました。また、「暗黙のルール」という言葉も重要なキーワードとして浮かび上がりました。「普通これくらいわかるよね」「言わなくても伝わるよね」― こうしたハイコンテキストな文化は、既存メンバーにとっては心地よい一方で、新しく入ってきた多様な人材にとっては見えない障壁になることがあります。ある参加者は、キャリア採用者から「主流派の暗黙知を押し付けられ、自分が否定されているように感じた」と告げられた経験を共有しました。多様性を活かすには、新しい人に適応を求めるだけではなく、既存社員側がどれだけ心を開けるかも問われます。その難しさと重要性が、対話の中で共有されていきました。 予定調和ではない、深い気づきの連鎖― では、なぜ多様性は成果に変わりきらないのでしょうか。対話の中で見えてきたのは、多様な意見やカオスな状態を、どこかで「面倒くさい」と感じてしまう潜在的なアレルギーです。効率を追求すれば、同質性の高い集団で、阿吽の呼吸で進める方が楽です。しかし、それでは新しい価値は生まれません。 一方で、多様な意見を成果につなげている組織の事例も共有されました。ある企業では、会議でさまざまな意見がぶつかり合うものの、それを放置せず、言語化し、ルールやオペレーションとして共通認識に落とし込んでいるとのことでした。多様な声が出るだけでは、成果にはつながらない。それを統合し、意味づけしていくマネジメントの力が不可欠である。そんな深い気づきが生まれていました。また、参加者からは、ロジカルに結論を急ぐのではなく、「結論のない対話を繰り返す時間を設けたい」という声も上がりました。すぐに成果を求めるのではなく、カオスを許容し、長期的に効いてくる対話の場をつくる。それこそが、人事やマネジメント層の役割なのかもしれません。参加者の声対話型ワークショップについては、「答えを出さない対話」そのものに価値を感じる声が寄せられました。「自社で籠もっていて、煮詰まっていたので、新鮮でした」「皆様の課題感に共感することが多く、自分の考えていることが特別ではないことがわかり、少しホッとしました」「色々な意見を結論を出さずに話すということに価値があるとよく理解できました」 対話の熱を、自組織へ持ち帰るイベントの最後には、本日の対話を経て、自組織に「起こしたい変化」と「自分ができること」を言語化していただきました。参加者からは、次のような具体的な一歩が共有されました。「思っているのに言えない状態をなくすため、お互いの個性を知る雑談バーのような場をつくりたい」「主流派への忖度をなくし、相互理解の時間をデザインしたい」「多様性を目指す前に、多様性に驚かない状態をつくりたい」「人事として、変化の必要性を理解できる体験の場を仕掛けていきたい」 対話を通じて、自社の課題を他社の視点から見つめ直す。そして、明日から試せる小さな一歩に落とし込む。そのプロセスこそが、HR “Manabi” sessionで大切にしたかった学びの形です。まとめと展望:会社を越えた「まじめな雑談」を、次の一歩へHR “Manabi” sessionは、正解を持ち帰る場ではありません。自社だけでは言語化しきれない問いを、他社の人事・組織開発に関わる方々とともに見つめ直し、明日から試せる小さな一歩を持ち帰る場です。今回の対話を通じて、多様性を活かす組織づくりは、DE&I施策だけで完結するものではないことが改めて見えてきました。管理職の関わり、組織横断のコミュニケーション、日常の中で学び合う関係性づくりなど、いくつものテーマが重なり合って初めて、違いは組織の力へと変わっていきます。会社を越えた対話の中で、参加者同士の間には確かな連帯感と熱量が生まれていました。 NOKIOOでは今後も、HRに関わる答えのないテーマを、会社を越えて語り合う場として、HR “Manabi” sessionを継続していく予定です。― 多様な意見が飛び交い、個性が活きる組織をつくるために。あなたは明日、誰とどんな「まじめな雑談」を始めますか?―HR “Manabi” sessionの振り返りは、音声メディアVoicyでも配信しています。当日の学びや対話の熱量、参加者同士のやり取りから見えてきた気づきについてお話ししています。記事とあわせて、ぜひお聴きください。#1715 会社を越えた対話が、仕事の景色を広げる(小田木×桐山 対談)