ひとりで頑張るリーダーから、全員で成果を出すチームへビジネス環境の不確実性が高まり、価値観も多様化する中で、管理職やリーダーに求められる役割はますます広がっています。一方で、多くの職場では、リーダーが一人でチームを支え、判断し、メンバーを動かそうとすることで、負担が集中しているのではないでしょうか。NOKIOOでは、こうした課題に向き合うため、7月22日に「次世代管理職こそ実践したい“全員マネジメント”」をテーマにトークライブを開催しました。当日は、人材育成や組織開発に関わる多くの皆様にご参加いただき、Zoomのチャットも交えながら進行しました。冒頭から「ひとりで頑張るのに疲れた!」といった率直な声も寄せられ、参加者の皆様がそれぞれの現場で感じている課題感が共有される時間となりました。「全員マネジメント」とは何か今回のトークライブで中心となったキーワードが、「全員マネジメント」です。これまで、マネジメントは「管理職という役職者の仕事」と捉えられがちでした。しかし、これからの組織においては、特定の個人の資質や権限に依存するのではなく、チーム全員で成果の実現を探求する機能として、マネジメントを捉え直すことが求められています。「同じ」であることを前提にリーダーがけん引するスタイルから、「違い」があることを前提に、対話と合意形成を通じてチームで前に進むスタイルへ。この転換が、プレイングマネージャーの負担を軽減し、メンバーの主体的な行動を引き出すうえで重要なポイントになります。現場の実感と理論の両面から考える本トークライブでは、NOKIOOの古賀と成瀬がスピーカーを務めました。古賀からは、日々、お客様を支援する中で見えている企業の課題感や、管理職の役割を見直そうとする現場の動きについて共有しました。一方、成瀬からは、「機能的リーダーシップ理論」や「シェアード・リーダーシップ」といった考え方を紹介しました。これらは、マネジメントを特定の人だけの役割ではなく、チームや集団の中で発揮される機能として捉えるものです。こうした現場の実感と理論の両面を踏まえながら、トークライブでは、いまの組織に必要なマネジメントのあり方を、現場での実践に引き寄せて考えていきました。全員マネジメントを支える「7つの行動体系」では、全員マネジメントは具体的にどのような行動として実践できるのでしょうか。その中核となるのが、「7つの行動体系」です。チームで成果を出すためには、まず土台となる「共通の価値観」を育むことが欠かせません。ここでいう共通の価値観とは、信頼関係、共通言語、共通認識を育むものです。そのうえで、チームとして目指す「成果」を描き、メンバー全員で握ること。そして、その成果を起点に、一人ひとりの「役割」をデザインしていくことが重要になります。さらに、日々の実践として回していくのが、「課題」「連携」「対話」「学習」の4つの営みです。問いの質を上げ、本質的な課題に向き合う。互いに助け合いながら、新しい価値を生み出す。対話を通じて信頼を深め、ものの見方を広げる。そして、事実をもとに振り返り、チームとして学習する。成瀬は、これらの行動を実践するうえで、どれか一つの行動に偏るのではなく、日々の業務の中で実践しながら、それぞれの行動をアップデートしていくことが重要だと話しました。次世代リーダー育成に必要な視点次世代の管理職候補をどのように育成していくか。ここで重要になるのが、「管理職になることを前提にマネジメントを学ぶ」のではなく、「チームとして機能するために、メンバーの段階からマネジメントを学ぶ」という視点です。多くの組織では、プレイングマネージャーがメンバー育成やピープルマネジメントに十分な時間を割けないことが、課題として語られます。しかしNOKIOOでは、この状況を単なる制約として捉えるのではなく、自らも成果を出しながらマネジメントを担うことを前提に、メンバー全員が成果につながる行動をとれる仕組みをつくることが重要だと考えています。そのためには、管理職候補に対して「管理職になってね」と役割を引き受けてもらうのではなく、「チームで成果を出すために、成果の出し方をアップデートしていこう」と伝えていくことが大切です。管理職になるかどうかの前に、チームで成果を出すための行動を経験すること。その小さな実践を、上司が承認し、支援していくことが、次世代リーダーの自信や成長につながっていきます。参加者の声から見えた課題感トークライブ中は、参加者の皆様から現場のリアルな悩みや実践に向けた問いが活発に寄せられました。特に参加者の関心を集めたのが、一般社員に「全員マネジメント」をどのように伝えるか、というテーマです。チャットでは、次のような率直な問いが寄せられました。 質問:一般社員の目線では、「管理職でもないのにマネジメントと言われても……」と反発されないでしょうか。古賀:マネジメントを「管理職の仕事を肩代わりさせられるもの」と捉えると、反発が生まれます。そうではなく、成果に向けて一緒に考え、行動する感覚を共有することが重要です。 このやりとりから見えてきたのは、全員マネジメントは管理職だけが実践するものではなく、「メンバー一人ひとりがチームの成果にどう関わるかを考えること」として伝えていく必要があるということです。単に指示を出す・受けるという関係ではなく、共に成果を探求する関係へと変わることで、メンバーが主体的に関わる余地も生まれます。また、別の参加者からは「メンバーだったときは相互理解が面倒だと思っていたが、マネジメントに携わるようになり、チームメンバーの価値観や期待役割の相互理解が大事だと本日再確認できた」という共感の声も寄せられました。参加者の皆様から寄せられた問いや気づきを通じて、その実践に向けた具体的な論点が見えてきました。連携は「余裕ができてから」ではなく、先に設計するトークライブの中で特に印象的だったのが、参加者から寄せられた「メンバーがそれぞれ異なる施策を担当しており、連携の時間が取れない」という悩みです。この問いに対して、成瀬は「余裕ができたら時間を取る」のではなく、連携や共有のための時間をあらかじめ設計しておくことの重要性を伝えました。忙しいからこそ、コミュニケーションの機会を意図的につくる。対話と合意形成のプロセスを、日々の業務の中に組み込む。それが、多忙なチームの中で自律的な連携を生み出していくための一歩になります。明日から、チームで成果を出すために次世代管理職の育成は、研修で概念や知識を学ぶだけでは十分ではありません。職場でチームの成果に向き合い、役割を考え、対話や連携を実践する。その経験の積み重ねが、チームで成果を出すリーダーへの成長につながっていきます。マネジメントを一人で抱え込むのではなく、チーム全員で成果に向かうために、どのような対話を始められるか。今回のトークライブが、次世代管理職候補の育成や、これからのマネジメントのあり方を考えるきっかけになれば幸いです。