研修や仕組みを整えても、管理職が再び一人で抱え込んでしまう研修で部門の役割やマネジメントのあり方を言語化し、1on1などの仕組みも導入した。それでも数か月がたつと、管理職が再び一人で悩みや課題を抱え込んでしまう。こうした課題を背景に、「管理職の実践を継続的にどう支えるか」をテーマに、8月27日にトークライブを開催しました。チャットにも、管理職の孤立や抱え込みに課題を感じているという声が寄せられ、参加者それぞれの現場で起きている課題も共有されました。マネジメントは、一度学べば身につくものではありません。その継続を支える一つの方法として、今回取り上げたのが、管理職同士が経験を持ち寄り、学び合う「コミュニティラーニング」です。管理職の実践を支える「学び合う場」という選択肢研修で学んだことを現場で試し、振り返りながら次に生かしていくには、実践後の学びを支える機会が必要です。日々の実践を振り返り、そこから得たことを言語化し、次の行動で試す。こうした経験学習のサイクルを回していくことが、マネジメントの実践を磨くうえで欠かせません。成瀬からは、こうした振り返りや学びを一人で続けることは難しく、管理職同士で学び合う機会が必要だという話がありました。同じ立場の管理職と経験を共有することで、自分とは異なる捉え方に触れたり、問いを投げかけてもらったりすることができます。安心して迷いや悩みを持ち寄り、他者との対話を通じて自分の経験を振り返ることが、次の実践を考えるきっかけになります。トークライブでは、コミュニティを単なる交流の場ではなく、日々の経験を振り返り、学びを現場に持ち帰るための場としてどう設計するかを考えていきました。学び合う場を機能させる3つのポイントしかし、コミュニティは、場を用意するだけで自然に機能するわけではありません。「場はあるものの対話が深まらない」「参加が続かない」「日々の実践につながらない」といった状態になることもあります。「あとは参加者に主体的に動いてほしい」と場を設けるだけでは、活動報告が中心になったり、参加する意味が見えにくくなったりすることがあります。トークライブでは、女性リーダーコミュニティの運営で実際に起きたことや、そこから得られた実践知も交えながら、「設計」「つなぎ手」「場づくり」の3つの観点から具体的にひもときました。①【設計】何のための場なのかを明確にするまず重要なのは、「なぜこの場が必要なのか」を明確にすることです。単に交流の機会をつくるのではなく、事業戦略や組織方針と場の目的をつなぎ、組織としてこの場を設ける意図を言葉にします。そのうえで、組織側の目的だけでなく、参加する本人にとってどのような意味があるのかまで整理します。組織としての目的と、参加者自身にとっての参加意義の両方を整理することで、多忙な管理職にも「なぜ参加するのか」が伝わりやすくなります。②【つなぎ手】運営を個人の頑張りだけに依存させないコミュニティを継続するうえでは、運営を有志や事務局だけに委ねないこともポイントです。トークライブでは、等身大の実践を共有する「社内の先輩実践者」、場や機会を用意して運営を支える「事務局」、外部の視点を持ち込む「外部の伴走者」という役割が紹介されました。誰か一人がすべてを担うのではなく、それぞれの役割を機能として置き、チームで場を支えることで、継続しやすい運営につながります。③【場づくり】コンテンツだけでなく、参加前から参加後までの体験を設計する学び合う場では、「当日何を話すか」だけでなく、参加前から参加後までを一連の体験として考えることも大切です。参加前には「なぜこの場に参加するのか」を共有する。当日は、比べ合う場ではなく、迷いや不安も安心して共有できることを確認する。そして最後には、「どこで、どのように試してみるか」を考え、日々の実践へつなげる。コンテンツそのものだけでなく、こうした一連の体験をあらかじめ設計することが、参加者同士の学び合いを支えるポイントです。コミュニティは、研修の前後の実践を支えるさらにトークライブでは、研修とコミュニティを別々の施策として捉えるのではなく、組み合わせて育成を設計する考え方が示されました。たとえば研修前に、少し先を行く人の実践に触れる機会をつくることで、「自分にもできるかもしれない」と具体的なイメージを持ちやすくなります。研修で知識や考え方を学んだ後には、現場で試したことをコミュニティで振り返る。「やってみてどうだったか」「どこで難しさを感じたか」を共有し、次の実践を考えます。このように、研修の前後にコミュニティを位置づけることで、研修を単発の学習機会で終わらせず、現場での実践と振り返りを継続的につなぐことができます。育成施策全体を大きく変えるのではなく、まずはいまある研修の後に、実践を振り返る機会を加えることから始められます。参加者のコメントから見えた、コミュニティ運営の難しさ当日は、チャットを通じて参加者からも、それぞれの職場での経験や課題が共有されました。「場を立ち上げても、主催者と参加者という関係から抜け出せない」「新任研修後に相談の場をつくったものの、忙しさから挨拶だけで終わってしまった」といった声に加え、長く運営するなかで、マンネリ化や参加者の固定化に直面したという経験も寄せられました。また、「短期的な成果が見えにくいテーマは継続が難しい」「目的達成のための具体的な話題を設定することが必要ではないか」といった意見も交わされました。こうしたコメントからも、コミュニティは単に「集まる場」をつくるだけではなく、何のための場なのか、何について対話するのか、参加者にとってどのような意味があるのかを継続的に考えていく必要があることが見えてきます。参加者から寄せられた経験からも、3つのポイントが実際のコミュニティ運営上の課題と重なることがうかがえました。管理職の実践を支え続けるために管理職の実践を継続的に支えるには、研修そのものだけでなく、その後に経験を振り返り、次の実践を考える機会まで含めて育成を設計することが大切です。今回取り上げたコミュニティは、こうした実践と振り返りを支える場の一つです。ただ場を設けるのではなく、何のための場なのかを明確にし、運営を支える役割を置き、参加前から参加後までの体験を設計する。そして、そこで得た学びを日々のマネジメント実践へ戻していく。今回ご紹介した「設計」「つなぎ手」「場づくり」の視点が、自社の管理職育成や、管理職同士が学び合う場を見直す際のヒントになれば幸いです。