NOKIOOが運営する音声メディア、「Voicy|明日の景色を変える仕事サプリ」では、Potage株式会社代表の河原あずささんとの対談を月1回お届けしています。Potage株式会社は、EQ(感情知能)と組織調律を軸に、メンバーが本音を交わせるチームづくり・組織づくりを支援している会社です。3回目となる今回のテーマは「AI時代のマネジメント」。河原さんのチャンネル「コミュニティ思考AtoZ」で前半を、仕事サプリで後半を収録しました。前半の対談では、AIによって生み出した時間を何に使うのかを話しました。仕事は速くなっているはずなのに、働く時間が変わらないのはなぜか。AIを、少し尖った仕事の速い仲間として迎えたとき、チームはどう変わるのか。そんな話をしました。前半の内容は、Potage株式会社のサイトに記事として掲載されています。🔗前半の記事はこちら(https://www.potage.info/post/ai-jidai-team-management)AIによって作業が速くなるほど、人は何に時間を使うのか。この記事では、AI時代に人が担う「判断」や「選び取る力」について、対談の後半をもとに考えます。仕事のための仕事が減ったとき、人はどこに向かうか前半で河原さんが話したのは、ある業務が突然AIに置き換わり、担当者がその業務から完全に手を離す瞬間が生まれた、という自社での出来事でした。それに対し小田木が印象に残ったと話したのは、「空いた時間をそこらにある業務で埋めずに、いま時間を使いたいことは何かをみんなで考え直した」という点です。手が空くと、埋めやすいもので埋めてしまう。AIで時間を生み出しているはずなのに忙しさが変わらないのは、生み出した時間を何で埋めているかに自覚的でないからかもしれない。そんな話につながりました。河原さんは、組織の中にある「仕事のための仕事」に目を向けます。よく考えると、仕事を見渡す仕事、仕事のための仕事みたいなものって、それなりにあったりするじゃないですか。AIの存在が、そういうところを少しずつなくしていく方に作用していくと、本当の意味での仕事にちゃんと人が向き合えるようになるんじゃないかと思っていて。誰かの手が空いたときに、仕事のための仕事を作って埋める。そのやり方から人が解放されると、生産性の面でも、やりがいの面でも変わっていくのではないか。空いた時間は自動的に良いことに使われるわけではなく、何に使うかを決める側に人が回る。ここが後半の出発点になりました。業務そのものを、AIに聞きながら組み替える小田木からは、決まった業務プロセスやルールを守ることより、それをどれだけ速く柔軟に組み替えられるかへと、重心が移っていくのかもしれない、という見方を出しました。AIを含めたチーム構成になるなら、業務自体を変えていこうという発想です。河原さんが実践しているのは、「AIに直接聞く」ことでした。こういう業務を今やっているんだけど、これをAIのエージェントに組み込むとしたらどういうフローになるか、どういうファイル構成になるか、と聞くんですよね。そうすると教えてくれる。今までのプロセス設計とは違うけれども、それをやるメリットはあるなとか、チームがAIを使う具体的なイメージが湧きやすくなるので、メンバーにも展開しやすいんです。AIがチームメンバーの一人なら、それが得意な仲間に聞くのと同じです。AIを単なるツールではなく、得意なことを持つチームメンバーのように捉える視点が、ここで一つ言葉になりました。編集者から、編集長へ後半の中心になったのは、小田木が最近感じている感覚です。これまでは自分で手を動かして書き、比較し、設計する、いわば編集者としての仕事でした。AIがそれらしく編集されたものを次々に出してくる今、求められているのは、それで良いのか、どうしたいのか、もっとどうしてほしいのかを判断する、編集長のような役割ではないか。いやいや、そうじゃないんだよ、こうしたいんだよ、と言って初めてアウトプットが劇的に変わる。書くこと自体が仕事だったものが、管理職であるかないかに関わらず、何であるのか、どうしたいのか、どういう状態がゴールなのかというジャッジメントが、ものすごく必要になっている感覚があります。と、小田木は話し、河原さんはこの感覚をこう言い換えました。AIが無限の選択肢を提示してくれる中で、何を選び取るのかが人間の仕事になってくる。だから結局のところAI時代に大事なのって、自分なりの価値判断軸をいかに育てていくかに尽きるなと思うんですよ。河原さんのキャリアの始まりは、イベントプロデューサー。企画を作ること自体は誰にでもできるようになる一方で、それが商業ベースに乗るかどうかは、プロデューサーの肌感でしか判断できない。さまざまなアイデアがあるとき、これはいける、これは違う、と瞬時に判断できることが試されている時代だと言います。編集者じゃなくて編集長。ディレクターじゃなくて、プロデューサー。オーダーに答えるんじゃなくて、オーダーそのものを出したり判断する。生み出すことに時間を使わない代わりに、本当にやりたいことへの判断軸を磨いて、自分自身のハンドルを握る。そこが強烈に問われているのかもしれません。この言葉が、後半の対談をまとめています。AIが出した案に、まずダメ出しできるか研修の構成をAIに考えてもらう場面を例に、河原さんはプロの目線を語ります。最初にやることってダメ出しじゃないですか。ワーク15分じゃダメだとか、ここはちょっと抜いた方がいいとか。自分の判断軸でAIが出してきたパターンを取捨選択して、これだったらいけるという決断をする。生身で人に提供してきた経験の蓄積、これはいける、これはいけない、緩急はこうだ、という無数のデータが溜まっているはずなんですよね。それを持って、AIの出してきたものを壁打ちの材料として使っていく。それができないと、平均的なものをそのまま届けることになりかねない。小田木も、大量に書かれているけれど、練り上げられていない文章を見抜く感覚が、世の中に広がりつつあると感じています。一方で、河原さんは逆の観点も挙げました。AIで作ったと分かる研修資料を渡されても、文脈を理解し、ここではワークしないから伝え方を変える、経験上ここは緩めてアイスブレイクを入れる、と調整できる講師なら、価値の高い研修になる。人間が介在する余白を作って、そこにそれぞれのスペシャリティを持った人の得意なところ、この人にしかできないところを入れていく。そういう感覚でコンテンツを作ることが大事なのかなと思います。AIの成果物そのものの出来より、そこに人がどう介在するかで価値が決まる。両者の見方が重なった場面でした。対談を終えて、二人のひとこと小田木「意志とか魂とか思いと言ってしまうと抽象度が高いかもしれませんが、実はそういうところなのかもしれない。根底にあるのは、経験や、リアルの中での想像力や体感、この場をどうしたいのかという誰よりも強いコミットメントからくる判断軸だと思いました」河原さん「AI時代に大事なのは、自分なりの価値判断軸をいかに育てていくか。ある意味、試されている時代でもあると思います」 まとめ前半・後半の対談を通して見えてきたのは、次の3点です。AIで作業は速くなった。それでも、生み出した時間を無自覚に次の作業で埋めていると、忙しさは変わらないAIは考えてくれるが、現実の世界で実行するのは人。人の時間は、人を動かす仕事と、何を選ぶかの判断に移っていくAI時代に問われるのは「編集者」ではなく「編集長」としての判断軸。AIが出す無数の案から、選び取る力判断軸を持つのは、管理職だけではありません。NOKIOOが提唱する全員マネジメントでは、チームの成果を一部の管理職だけに委ねず、一人ひとりが自分の役割からチームの成果創出に関わることを大切にしています。AIが仕事の進め方を変える時代だからこそ、メンバー一人ひとりが「何を選び、何に時間を使うのか」を考え、チームで景色を合わせていくことが求められます。何を磨いていくかの方向を間違えないように、重点を柔軟に変えながら進んでいく。小田木のこの言葉で、対談は締めくくられました。 音声・記事のご案内対談は、音声でもお聴きいただけます(アプリ不要/無料)。👂前半:小田木朝子さんと語る「AI時代のチームマネジメント論」(河原あずささんのチャンネルで聴けます)👂後半:AIをチームの仲間にしたとき、人は何に時間を使うのか(NOKIOOのチャンネルで聴けます)📝前半の記事:https://www.potage.info/post/ai-jidai-team-management対談の出演者 小田木朝子(株式会社NOKIOO取締役)人材開発・組織開発を手がける株式会社NOKIOOの取締役。Voicy「明日の景色を変える仕事サプリ」パーソナリティ。河原あずさ 氏(Potage株式会社 代表/コミュニティ・アクセラレーター/思考調律師)EQ(感情知能)と組織調律を軸に、チームづくりを支援。メンバーが本音を交わし、生き生きと成果を上げ続けられる組織づくりに取り組んでいる。